
こんにちは。薬膳漢方マイスターのおにぎりです!
季節は巡り、秋。
気温や湿度、そして風の質までもが少しずつ変わりゆく頃です。
体は冷えや乾燥に敏感になり、暮らしの小さな選択が日々の
「快」や「不快」を左右します。
そんなときこそ、食材を選び、器を整え、言葉を添えることで、
心と体にやさしい調律をもたらすことができます。
ほんの少しの意識の変化で、毎日の食卓は「ととのえの時間」へと姿を変えていくのです。
今回は、薬膳の視点からこの秋にふさわしい 食材・器・言葉 の選び方と、
それを暮らしにどう取り入れていくかを、丁寧にご紹介します。
コンテンツ
1:季節と調和する暮らしとは
秋は、五行でいう「金(きん)」の季節。
肺・皮膚・悲しみ・白・辛味がこの季節に対応します。
薬膳では、肺と大腸が深く関わるとされ、
秋になると肺や皮膚が乾きやすく、呼吸器の不調や便秘、
肌のかさつきが起こりやすいと考えられています。
また心の面では、「寂しさ」や「内向きの気分」が
訪れやすくなる時期でもあります。
つまり、秋に起こりやすい不調。乾燥・咳・肌荒れ・
気持ちの沈みは、自然の流れに沿った“気の動き”の一部です。
こうした季節の変化に気づき、受け入れ、
暮らしの中にそっと取り込むこと。
それこそが「季節と調和する暮らし」の本質です。
たとえば、
・朝、喉の渇きに気づくこと
・夕方、肌のかさつきに気づくこと
・夜、ふとした寂しさに気づくこと
それらは、身体や心が季節の移ろいを確かに受け取っている証です。
その小さな“気配”に寄り添うように、
食材を選び、器を整え、言葉を添える。食材の選び方にも、
器の手触りにも、言葉の余白にも、季節の息づかいは静かに宿ります。
「季節と調和する」とは、単に「季節に合わせる」ことではなく、
「季節と対話し、整える」こと。
その対話は、台所で始まり、食卓で深まり、言葉で結ばれます。
2:秋の薬膳食材でととのえる身体と心
秋は、乾燥と冷えが静かに忍び寄る季節。
薬膳では、潤し、温め、冬への備えを始める食材を選びます。
それは、身体だけでなく、内へと向かう心にも寄り添う整えの実践。
あなたの身体と心は、今どんな気配をまとっていますか?
ここでは、秋の養生に役立つ「潤す食材」「温める食材」をご紹介!
①潤す食材(白きくらげ・梨・大根)
乾燥に傾く秋には、肺を潤す食材が欠かせません。
「食べるヒアルロン酸」とも呼ばれ、肺や肌を潤す代表的な食材。
また免疫力を高めるミネラルが豊富。
- 鶏肉と煮てスープにすると肌のうるおい効果バツグン。
- はちみつや棗と煮ると、喉の乾燥にも効果的。
体の余分な熱を冷まし、潤いを与えます。
乾いた咳や声枯れのときに最適。
- 梨をすりおろして豆乳にまぜると肺を潤す
- 梨を蒸してはちみつををかけると喉の乾燥に効果的
消化を助け、体内のこもった熱を和らげます。
特に「胃の疲れ」や「咳」によい働きをします。
- 大根のおろし汁にはちみつを加えると肺を潤す
- なつめと煮ると皮膚の乾燥に効果的
②温める食材(生姜・なつめ・黒豆)
秋の夜長とともに体は冷えやすくなるので「温める力」を補うのがポイント。
血行を促し、体を芯から温める効果は天下一品。
乾燥と冷えの両方に対応できる。
- 味噌汁にすりおろした生姜を加えると胃腸を温める効果
- 生姜湯にはちみつを加えると冷えに効果的
血を補い、心を落ち着ける作用があります。
乾燥した空気で心が疲れたときに最適です。
- 白米に刻んだなつめと生姜を加えて煮ると胃腸を温める
- なつめと生姜を一緒に煮ると冷えを改善
腎を養い、冷えや疲れを防ぐ力があります。
また、血行をよくする作用があります。
- 黒豆を煮て、くるみと黒糖で甘く仕上げると冷えを改善
- 黒豆を柔らかく煮て、すりおろした長芋を加えると冷えを改善
これらの食材は、ただ効能があるから選ぶのではなく、
「今の自分に何が必要か」
「季節とどう調和するか」を問いながら選ぶ。
それが、整えの哲学における食材の選び方です。
3:器が映す季節と気配
薬膳で食材を選ぶように、器にもそれぞれ「性質」があります。
どんな器を使うかによって、料理の印象だけでなく、
食卓の空気や、そこに流れる“気”までも変わっていきます。
【器の素材】
陶器 土の温かみを感じる素材。
少し厚みがあり、煮物やスープのような温かな料理にあう。
秋の落ち着いた気に調和します。
◆陰陽五行「風水のととのえ視点」
土の気:気を鎮め、場を安定させる。家庭運・健康運を整える。
木の器 やわらかな質感が魅力。
軽く、手になじむ感覚で、サラダや常備菜などの料理にあう。
静かなぬくもりがあります。
◆陰陽五行「風水のととのえ視点」
木の気:気の流れを促し、創造性や人間関係を整える。
漆器 艶やかで華やぎを添える存在。
特別な時間に気を高めてくれる器で、おもてなしなどの料理にあう。
空間に張りを生み、心を“凛”とさせてくれます。
◆陰陽五行「風水のととのえ視点」
火の気と水の気:華やかさと静けさを同時にもたらし、感性や直感を整える。
器は手にしたときの質感も大切です。
手に持った時、しっくりと馴染むものが一番です。
【器の質感】
磁器
ひんやりとした清らかさをまとい、凛とした気配を漂わせます。
秋の朝の澄んだ空気のように、思考を整える器。
木の器
やわらかな温もりが伝わります。
自然の木目は、穏やかな時間の流れが宿り、食卓に安心感を添える器。
漆器
指先に吸いつくような質感が場を凛と整えます。
秋の夜のように静かで、実りの季節にふさわしい器。
指先で感じるその「触覚」こそ、
目に見えない“ととのえ”の一部です。
器を選ぶときは、デザインよりも「今の自分に合うか」を感じてみること。
少し疲れている日は、重みのある器で心を落ち着け、
前向きな日は、軽やかな器で気持ちを広げる。
その選び方ひとつひとつが、季節の気配と共に、
あなた自身の“調律”へとつながっていきます。
4:ととのえの言葉を添える
言葉もまた、日々を整えるひと匙。
器が食卓の「かたち」を整えるものだとすれば、
言葉は、その場の「こころ」を整えるもの。
「いただきます」「おかえり」「おいしいね」
何気ないひと言のなかに、人と人をつなぐ“気”が流れています。
その言葉があるだけで、料理がやさしく映り、
空気がやわらぎ、心が少し深呼吸をはじめる。
食前・食後、台所に立つとき、こんな言葉をかけみてください。
食前のととのえの一言

今日は、体がどんな味を欲しているだろう?

この一皿は、私を季節に戻してくれる
食後のととのえの一言

今の体は、どう感じている?

今日の気は、どこに向いていただろう
台所に立つ前の整えの一言

今日も整える時間をありがとう

この料理が心と体を満たしますように
この小さな一言が、体の声を聞き取るきっかけになります。
そして、料理の手元にやさしさが宿り、
出来上がりにも穏やかな気配が映ります。
続けていくうちに自分に合う食材や調理法が
自然と分かってくるでしょう。
整えるという行為は、特別な儀式ではなく、
日常の中の小さな所作や言葉の積み重ねにあります。
だからこそ、どんな言葉を添えるかが、
その日の「気配」を決めていくのです。
5:まとめ。ととのえるとは、選ぶこと
季節が移ろうたび、私たちの心と身体も静かに変化しています。
秋は乾燥と冷えが忍び寄り、感情も少しずつ内向きに。
そんなときこそ、「ととのえる」とは、
ただ何かを加えることではなく、何を選び、何を手放すかという
静かな選択の積み重ねです。
薬膳の知恵では、秋は「肺」を養い、潤いを補う季節。
大根や梨などは、五行の「金」に通じ、呼吸を深め、
内側から整える力を持っています。
器もまた、選ぶべき大切な要素。
陶器のぬくもり、木の質感、手に馴染む重さが、
食の時間に静けさと深みを添えてくれます。
そして、言葉もまた、ととのえの道具です。
「しみじみ」「ほっと」「沁みる」
そんな言葉を選ぶことで、心の調律が始まります。
暮らしの中で何を食べ、何に触れ、どんな言葉を使うか。
それらすべてが、私たち自身を整える選択です。
ととのえるとは、選ぶこと。
ONIGIRIは想います、
季節の移り変わりを体と心で感じて、
薬膳のととのう力を借りて、
そして自分自身の感覚を信じて、
今日一日幸せに暮らせるやさしい選択しようと・・・

最後までお読みくださりありがとうございます。
あなたへのおいしい食手紙 
